はじめに
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『二度目の女子会』
二回目の京都、二日目の今日は、二度目の女子会、つまり古来から伝わる體術の講座の日である。前回で顔見知りになった妙齢の女子達と集えると思うと、足取りも軽くなる。方向音痴の女性は、今回は予定が入ってしまって来られない。
前回は、初めて会う講師とこれまでの人生で全く縁のなかった體術の世界にわたしも含めて皆異様な緊張を呈していたが、今回は場を盛り上げようと全員が積極的に質問をした。わたしは前回の講座後から時間を見つけて練習をしていたが、途中から歩く時に右膝や左足の親指が痛むようになっていた。
前回の復習で講師が動作の確認をしに来て、「動きが違う」と一言、にべもなく告げられる。心中、白紙状態である。えっ、一ヶ月もやってきたのに。そうか、だから膝や指が痛んだのか。この體術は教えとは異なる動きをしていると体を故障するらしく、そういった恐れもあるので講師がやった通り、説明を聞いた通りに動かすように口酸っぱく注意される。しかし、今までに見たことも動かしたこともない動作をするので、脳の方ではかなり混乱し抵抗している。しかもそれが何のためなのか分からない。教わったところで、それで、これって一体何のためにやるんですか状態になる。先が全く見えないのでなおさら困惑する。そうすると、人はこれまでに経験した動きや自分独自の理解を用いて体に定着させようとするらしく、指導と異なることをやってしまい、さらに無自覚なままだと意図したことから現実が逸れていくことになるそうだ。
自分自身の体でさえ意図した通りに動かせていないという現実と、いやわたしは動かせているんだという認識とのずれに氣付いていくこと、自分が入力した情報や認識のずれに自覚的になること。そのずれや齟齬に氣付いていくことも、この體術の醍醐味の一つだ。「ちゃんとやっているんですけど、そうならないんですよ」と言いたい時、わたし達はそもそも「ちゃんとやれていない」という事実を認識する必要があるらしい。
そこから、自分の体を意図した通りに動かしていけるように変化していくこと。これが講師の言う現実創造の第一歩らしい。自分の真の意図と実際の言動とのずれや齟齬に氣付いて一致させていくこと。それに当たり、体の動き、しかも深層筋(インナーマッスル)と言う骨に近い内部の筋肉と骨の動きに意識を向け、身体面から接近していく経路もまた有効なんだそうだ。別な古武術の先生も、わたし達の体は思考よりも優秀なんだと言っていた。情報過多で頭でばかり考えている現代人のわたし達は、体にもっと意識を向け、双方を繋げた方がいいのだ。それは、実際に自分の認識と動きとのずれを経験して少し分かったような氣がした。
その後、また新たな動きや呼吸法を習う。「正しく覚えなければならない」と言う緊張と覚える新規情報の量の多さに、思わず「絶対に忘れる」と口から言葉が飛び出してしまう。しかし、それも言葉にすると自分でその現実を創っていくことになるので、控えた方がいいと言う。「絶対に覚えていられる」「忘れないから安心して」そんなことを自分に言うと、抵抗感で脳みその中が痒くなる感じがする。それが「できない」現実を創るためのこれまでの自分の習慣だったのだ。
そんな新たな発見もあり、講師の簡易個別診断を受けていた時のこと。講師は割とくまさん体型で、見た目には筋肉質にも見えずお腹の周りも太いので、美味しい物をいっぱい食べていそうな外見をしている。本人談では、実際にはその腹囲の内部が全部筋肉らしく、何人かの弟子達との間ではヒグマのような体型が最強、ヒグマ体型を目指したいヒグマの会(うさこ命名『全国ヒグマになりたいの会』)を結成していると嬉しそうに話す。冗談なのか本氣なのか、なぜかヒグマの会への誘いを受けた。しかし、苦節を経て子ども時代のぽっちゃり体型を克服した細身のわたしとしては、いくら武力的に強くなれると言われても、ヒグマの条件と引き換えと言うことになると悩ましい。だってうさこがヒグマって、どうですか。ヒグマのくま子に改名する必要さえ出てくる。くまこの水の惑星探検日記、どっしりしていていいのかしら。「その会に女性はいるんですか」やんわりと牽制しながら聞いたところ、講師は口籠もっていたので未だヒグマ女子はいないのだろう。もし仮に好意で以て、一緒にヒグマになろうよと言われたとしても、それを素直に喜べる女子はそう多くないと思われる。男性から女性にヒグマの誘いをする際は、慎重を期されたい。
そうやって和やかに講座が終わり、また皆で昼食を食べに行く。連絡を取り合っていた人以外に、今回仲良くなったおばさま方が加わる。その中に一人、前回からやけに何かと行動が一緒になる女性がおり、わたしは理由もなく親近感を抱いていた。髪も短く、見た目の第一印象は「鷹のような女性」である。丸みよりはとんがっている雰囲氣が強いのだが、わたしは表情や言葉の端々にとても温かさを感じていた。あちらもご縁を感じていたらしく、「わたし達、過去世のどこかで親子だったんだと思うわよ」と言われて、妙に納得した。今世でも会いたいと願い、どこかで巡り合う約束をしていたのだろう。こうして再会できる運命に感謝が湧く。
昼食会も終盤になった頃、わたしの旅支度を見た別な女性から、またどこかに旅に出るのかと聞かれた。この後は天河神社に行く。今回は京都から奈良、そして天河神社へと足を伸ばす予定だ。すると、それを聞いた彼女が突然、「近くに丹生川上神社下社と言う神社があって、宮司さんが面白い方だから、ぜひ行って」と猛烈に勧めてきた。「え、にゅう…」「に、う、にうかわかみじんじゃしもしゃ」その勢いに戸惑いつつ何か理由があるのだろうと察し、「う、うん、分かりました」と名前も知らなかった神社を訪ねることにする。
今日はこれからツクブスマ姉妹と合流して奈良を目指す。新しい目的地が一つ加わった。
編集後記

写真を大分整理してしまったので、今回は載せられる写真がないのですが、文章から女子会の空氣を想像してもらえたら嬉しいです。
「全国ヒグマになりたいの会」に参加されたい方は、コメントをください。参加に向けた方法をこっそりお教えします(笑)。
そう言えば、今年は熊やヒグマの被害が相次いでいますが、メガソーラーの設置等で森に餌や棲家が無くなった生き物達の代表として、熊が人類に被害を訴えているように感じてなりません。先に森に棲んでいたのは、人間ではなく熊達なんじゃないのかな。
自然と共に人間が共生することに意識を向けて本氣で向き合い、もっと自然を感じて生きられる人類になることができたらいいなと思い、今日も身近な友人達と植物の話や動物の話をしています。
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