宇宙人と地球人のハーフM氏<その3>

スピリチュアル

前回までのあらすじ

これまでの経過は、こちらをどうぞ。

姉さんの大人な対応

翌朝、一緒にアルバイトで入ったカズエ姉さんがラインをくれた。

実はこの一件、うさこの中ではカズエ姉さんからの別件での助言で、感情目盛りがたぷたぷになっていたことも一因となっていた。そういう背景があり、姉さんが朝から気遣って様子伺いの連絡をくれた。

「私の悪ツッコミと口の悪さでドギマギさせてしまっていたようで、逆に私も反省しました。

ごめんね。

私はいつでもうさちゃんの味方だから安心してね。」

もう、こんなのをもらったら朝から涙腺が崩壊するぞ。うう。

大人って、自分がよかれと思って子どもにしたことが、子どもにとっては負担だったり、大人の意図を理解できずに混乱している時に、子どもに対して謝ることができない生き物だ。

うさこはずっとそう思っていた。

でも、カズエ姉さんは違った。

うさこがずっとずっと大人(お前もな)に求め続けていた理解と反省をくれる。

もう、それだけでうさこの眼が潤む。

これから農作業が始まるというのに。

「今朝は気持ちを切り替えたはずなのに、朝のLINEで逆に涙腺崩壊(爆笑)。

今日はあまり刺激しないようにお願いします。危険です。」

こう送ったら、本当に刺激しないでいてくれた。

これができる人って、なかなかいない。

揺れる感情を必死で抑えて、午前中の作業に入った。

ピーマン越しのM氏と宝物

午後からM氏と二人でピーマンの棚を解体する作業を担当することになった。

昨日の今日でどう接したらいいかとあれこれ考えた結果、素直にうさこの気持ちを話して謝ろうと思った。

「M氏、昨日はごめんね。

そして注意してくれてありがとう。

うさこね、午前中も必死で作業をしたけど、全然速くならなかったの。

正直なことを言うと、うさこは目的が明確じゃない単純作業って、どうしても真剣にできないんだよね。」

「できないんですか。」

M氏は、しょうがないっすねと全身で脱力して苦笑している。

それから、スピリチュアルな感覚を持ちながら現実世界の課題に取り組むことについてM氏の考えを聞いたり、うさこの意見を話したりした。

悔しいし惨めだけど、自分のできないことを素直に認めてM氏に謝ることで、わたしは一つ大人になれた氣がした。

その夜、突然M氏が部屋を訪ねてきた。

「うさこさん、入ります。」

「ちょっと待って!だめだめ。何?」

部屋の仕切りになっているカーテンから顔を出すと、そこにM氏が布団乾燥機を持って立っていた。

「寒いと思うので、これ使ってください。」

「え、ありがとう。でも、うさこストーブの方がい…」

「もう、人がせっかく親切で言ってるのに!しばくぞ、こら!」

おお、M氏ってこんな言い方もするんだね。

そう言って布団乾燥機をうさこに押し付け、憤慨して部屋からファンヒーターも持ってきてくれた。

M氏の優しさに笑ってしまった。

長崎と言えども、11月に入った菌ちゃんふぁーむは寒い。暖を取れるのはありがたかった。

M氏の部屋に他に暖房はあるんだろうか。

そう思いながらも、せっかくのM氏からの気持ちなので、ありがたく二つをお借りした。

その日を境にM氏とはぐっと距離が縮まり、畑に関する色々なことを教えてもらった。

畑に肥料として入れる野菜の漬物の作り方。

目に見えない木と畑の作物との関係。

M氏は顔立ちが濃く連日の農作業で日に焼けているので、菌ちゃん先生にインドからの留学生と紹介されてからかわれること。

地球を愛の星にするために、自分達ができることは何か。

などなど。

雨降って時固まるとは、このことだ。

うさこはこの言葉がすごく好きである。

それを体現して生きていきたい。

旧知のようなスピリチュアル仲間のM氏とのやりとりは、うさこの宝物の一つとなった。

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