『天河神社』(京都奈良滋賀⑧)

表紙(天河神社) うさこの本棚

はじめに

 今回も登場するツクブスマ姉妹についての記事はこちらから。

『ツクブスマ』(京都滋賀奈良②)
色んなかけらが組合わさり、過去と邂逅する竹生島と都久夫須麻(ツクブスマ)神社への旅。『新々百人一首』についての紹介あり。

 前の記事はこちら。

『二度目の女子会』(京都滋賀奈良⑦)
京都に集まった不思議な大人女子達と聞いた日本古来の體術の話。そして新たな旅の展開。

『天河神社』

 天河神社、正式名称を大峯本宮 天河大辨財天社というらしい。

 ある宮司がこの神社に参拝したという電子上の記事を読んでいたところ、何年か前に天河神社付近で大洪水が起こったことを知った。その記事に対し、「禊をします」という声が聞こえたという人がいた。

 天河神社は知る人ぞ知る神社として有名なのではないかと思う。わたしも誰かが紹介している物を読んで、名前だけは知っていた。この宮司の存在が氣になっていた折に、天河神社に訪れた話とこの禊の話に触れ、俄然興味が湧いた。機会があったら行きたいと思うようになった。

 今回、二度目の京都の機会に合わせて、行けるなら天河神社まで足を伸ばしたいと思った。

 前月にツクブスマ姉妹と行った竹生島の感動と興奮が冷めやらず、彼女達とは頻繁に連絡を取っている。その中で、わたしが二度目の京都に合わせて天河神社に行ってみたいと思っている話をしたところ、ツクブスマ妹がこの神社のご神宝になっている五十鈴の図が夢の中で迫ってきたので行きたいと言う。じゃあ、3人で行こう。

 そうなると、もう旅は現実になったようなものである。宿探しから交通手段、日程、待合せ場所の検討まで、相談を始めた。宿はツクブスマ妹が別な所を予約してくれていたが、三人での電話会議で地図を見ていた時にふとわたしの目に入った宿があり、「ここ?」と聞いたら、ツクブスマ姉も同じ宿が氣になっていたと言う。それで、妹が改めてその宿に予約を取直してくれることになった。

 迎えた当日、わたしは體術後の昼食を後にして、電車で待合せ場所の奈良県の駅に向かった。駅に車で迎えに来てくれた二人と合流する。関東から車で駆け付けてくれたツクブスマ姉妹と、東北に住むわたしが関西で合流する。何とも時空を超えた旅である。

 奈良にも大きな古墳がいくつもある。そこを抜けて、天河神社のある山間の村を目指した。

 村は天ノ川と呼ばれる川沿いに営まれており、川の名前が書かれた看板を見て、この川を空の天の河に見立てているのだと察しが付く。何とも心惹かれる見立て方である。この川を渡って神社の集落に入るのだが、かなりな高さの鳥居があり、圧倒されつつそれを車で潜って行った。

天河神社の地図

 一度宿に着き、荷物を置いてからツクブスマ姉妹が目に留めていた天の川温泉に行って湯に浸かる。暗い山の中に光を放って立つ小さな温泉は、それ自体が桃源郷の中に佇む異界の温泉のように思われた。建物は新しく、明るく綺麗でお湯もつるつるとしていた。どこか夢心地のようだった。

 宿に戻ると夕食が用意されており、民家の居間で頂く女将さんの手料理はどれも手が混んでいた。家庭菜園で育てた無農薬のお野菜と、一品一品手を替え味を変えて作られた幾重もの小鉢が食卓を埋める。全てが異なる味付けで、こんなに丁寧な料理を食べたのは久しぶりだった。

 女将さんは辨財天の使いだとよく言われるらしく、本殿にいらっしゃる辨財天像ともお顔が似ているとか。安倍元首相の奥様も何のご縁か泊まりにいらしたことがあるらしい。わたし達が通された部屋には鞠と空海さんの仏壇があった。部屋の空氣が嫌に澄んでいて、違う世界と繋がっているような、ちょっと異質な空氣が満ちているように感じられたのだが、案の定、座敷童がいるらしいのだ。わたしは天使とか妖精とか龍とか鳳凰とか宇宙船とか宇宙人とか、目に見えない存在が大好きだが、殊に幽霊の類に関しては小さい頃から怖くて仕方がないのである。座敷童は幽霊ではないのだろうが、わたしの中では同じ括りになってしまう。座敷童は幸運の象徴だから、たまたま取った宿が座敷童の宿だったのは僥倖に恵まれていると思うものの、初めての座敷童体験を前に体は固まる。果たしてこんな状態で会えるのだろうか。

 他にも、敏感な客が別な部屋に龍がいるというらしい。女将さんも夢に虹色の鱗を持つ巨大な龍が現れたそうで、不思議な体験を沢山されていた。たまたま地図で目に付いて選んだ宿がこんな隠れた聖地のような場所だとは思いもよらなかった。何かに導かれているように感じる。客は深夜に出かけることも多く、神社に何かを見に行くらしい。「UFOとか」女将さんが悪戯っぽく言う。こんな山奥の真っ暗な夜に、神社に行って何を見るのだろう。まさかUFOが日本の山の中の神社に現れるとは思えない。

 わたしは幽霊を見るのは怖いので、座敷童も有難いのだが、それ以上にどんな子どもが現れるのか、どんな風に見えるのかが怖くて、緊張してほとんど眠れなかった。

大峯本宮 天河大辨財天社
大峯本宮天河大辨財天社̠|天河神社|奈良県天川村|神社
大峯本宮天河大辨財天社は、日本の三大霊場である高野、吉野、熊野を結んだ三角形の中心に位置しています。縁起では、琵琶山に鎮まる真名井の磐座に第一代天皇神武天皇が祈りを捧げ「ヒノモト」という言葉を天から賜...
天川村公式サイト(訪れる際は作法を守ろうね)
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うさこの本棚(本の宣伝あり)

1 アマテラス

うさこ
うさこ

 これは、書道の先生から教えてもらった漫画なんですが、ここに天河神社の五十鈴が登場するんですよ。神社の公式サイトに写真がありますので、氣になる人は見てみてくださいね。

 思いがけない形での五十鈴の登場に、宿の女将さんの話が繋がる驚きが隠せなかった漫画です。御神宝は、そういう意味だったのと興奮しちゃいました。スピリチュアル好きは一読しておく本かもしれない。

※貼り付けた購入サイトでは、現在「メーカー取り寄せ」状態だったので、今後在庫がなくなると購入できなくなる可能性があると思います。もしご購入される方は書店でもいいので、お早めに入手された方がいいかもしれません。

2 能はこんなに面白い!(中古のみなので紹介のみ)

うさこ
うさこ

天河神社の公式サイトを見ていたら、能とのゆかりも深い神社だったことが分かったんですよ。能については素人ながらに少し語りたい。

この本は、県立図書館をぷらぷらと歩いていて目に留まった本です。能と日本人の身体性との結び付きについて対談されていたのが面白かった。日本の伝統文化に内在される精神世界と身体性の深さってすごいんですよね。どこかで見かけたら読んでみてほしい一冊です。

能はこんなに面白い!
うさこ
うさこ

能をはじめとする伝合芸能って、古武術とも日本文学とも通じる身体性と精神性を兼ね備えていると思うんです。

それが面白い。奥深い。

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